ミツオ日記

自称詩人 熊野ミツオの日々

ぼくは何も考えていない

ぼくは何も考えていない

とぼくは言った

 

言葉の切れ端を探して

バスの床を見ていた

窓の外の

青い風景が

急に水色に変わった

 

好きな女の名前から

植物のように

詩が生える

 

そう

誰かが言ったように

愚かでなければ

恋なんかしない

 

彼女は

いまもこの世界のどこかにいて

笑っているときもあれば

泣いているときもあるだろう

でもぼくには

関係のないことだ

 

三月

ぼくには関係ない

という名前の

光が

空気を

あかるくしている

 

この世界で

何よりもあかるいのは

死者の浮かべる微笑みだった

 

ぼくたちは

昼間も

見えない星の光に

照らされていたのだ