ミツオ日記

自称詩人 熊野ミツオの日々

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

トラウマ

ひとはこわい生き物だった ぼくはひとの胸に抱かれて 寒い夜を眠ることもあった その身体から かすかな匂いがした 朝になると ひとは洗面所で 歯を磨き ウガイをする 外から平べったい光が射している ひとの顔に 作り笑いが生まれる瞬間を見ていた 顔がウニ…

ぼくは何も考えていない

ぼくは何も考えていない とぼくは言った 言葉の切れ端を探して バスの床を見ていた 窓の外の 青い風景が 急に水色に変わった 好きな女の名前から 植物のように 詩が生える そう 誰かが言ったように 愚かでなければ 恋なんかしない 彼女は いまもこの世界のど…

すべて順調

新しい障害者手帳を受け取った。一つ前の障害者手帳の証明写真のぼくはまだ四角いメガネをかけていて、眉毛を整えていなくて、おでこが隠れない髪型をしていた。新しい障害者手帳のぼくは白いワイシャツを着ていて、丸いメガネをかけていて、太っている。と…

知らないひと

きれいな朝にひとりで目覚める きのうのことさえ何も覚えていない ぼくは家を出て 電車で隣の街に行った 知らないひとに道を聞かれたけれど 何も答えられなかった ぼくは笑い方を知らない ぼくは自分で自分のことをよく知らない それなのにぼくは働かなくて…

三日に渋谷に行った話

お正月の三日に渋谷に行った。ぼくは普段は渋谷に行ったりしない。でも、見たい映画が渋谷のブンカムラでやっていたので、滅多に行かない渋谷まで行ったのだった。 渋谷駅から出ると、いろんなものがあった。デカい広告があった。「この街の主役はきみだ」と…

不安な日記

なぜ ぼくはひとりなのだろう ぼくが見ている自分自身と 誰かが見ているぼくだと どちらが本物のぼくなんだろう なぜ ぼくは あのひとを好きになってしまったのか なぜ 戦争はなくならないのだろう ひとは切ない気持ちを どこに捨ててくるのだろう ぼくたち…

夜更かし

睡眠薬を飲んで布団に入る テレビを点けてボンヤリとする 芸人たちの空虚な笑い声が響く ロボットが未来について静かに語る アフリカの草原が映っている クラシックの指揮者がタクトを振る 宇宙から見た 地球の映像が流れる もう深夜だ いつか自分の存在は水…

2021~2022

きのう(一月一日)、お風呂に入っているとき、もう、無理して詩を書いたり、文章を書いたりするのはやめようとおもった。そう決めるとサッパリした気持ちになった。 ぼくはそもそも、なぜ創作をしているのかと言うと、それを通して社会的に成功したいという…