ミツオ日記

自称詩人 熊野ミツオの日々

何も考えずに働く

 ぼくの人生はこれからよくなる。そういう風に自分に言い聞かせてみた。ぼくはどちらかというといつもネガティブなことを言っている。だから、それを変えてみようとおもったのだ。実際に人生がよくなるかどうかはわからない。ただ、感じ方のほうを変えてみようとおもったのだ。

 

 最近は毎日、バイトに行っている。少し前は働くのが嫌すぎてたまに休んだりしていた。休んでコメダ珈琲店に行ったりしていた。でも、いまは毎日、バイトに行けている。それはいいことだと一般的には言われている。カウンセラーさんもそう言うだろう。

 この前、カウンセラーさんと話していたら、「熊野さんはとにかく調子が悪くてもそういうのに関係なく仕事に行けるようになるといいですね」と言われた。それがぼくにとって大切なことだとカウンセラーさんはおもったようだ。そうなのだろうか。わからない。

 ぼくの友だちは、「熊野さんのバイトは祝日もないし、休みも少ないからたまには自分で休みをつくって調節するのもいいかもしれませんね」と言っていた。どうなのだろう。何が正しいのかわからなくなる。

 とにかく、ここ最近のぼくは、真面目にバイトに行っている。そのコツは何も考えないことだ。仕事中に、「自分がいま、ここで働いているのは、自分の人生にとって有益なことなのだろうか?」みたいなことを考えはじめるとつらくなる。そういう本質的なことを考えないようにすると、仕事をするのもそこまでつらくない。

 支援者さんに相談したとき、「熊野さんの仕事は手足を動かしていれば終わる仕事なのだから、生活のためにやればいいんですよ」と言われて、ぼくも「それはそうだな」とおもった。それ以来、ぼくは余計なことを考えずに働いている。

 仕事というのはたぶん、いつの間にかいまの職場にいて、気がついたらやっていた、くらいの軽いノリでやるものなのかもしれない。これはYouTubeで聞いた話だけれど、仕事というのはスーパーに買い物に行くくらいの気持ちでやれるといいらしい。

 何も考えないと楽だ。これは仕事だけではなくて人生についても言えるのかもしれない。人生とは何か? とか、生きる意味は? みたいなことを考えはじめると苦しい。なんとなく、気がついたら生きていたから、とくに理由なく死ぬまで生きていくのだというくらいが丁度いいのかもしれない。

 

 そういうかんじで何も考えずに手足を動かして働いている。

 そう言うと、すべてがなんとなくうまくいっているような気がしてくるが、そうではない。最近は真面目に働いているせいか、睡眠時間が長くなっていて、夜の十二時に寝ると、朝の九時まで眠ってしまう。九時間は眠っていることになる。ぼくのバイトは午後からなので、午前中は自由なんだけれど、その自由時間が睡眠で圧迫されている。

 自由時間が短くなっているだけではなく、気力もなくなっていて、何もする気になれない。ぼくはいままでは読書と筋トレを日課にしていた。でも、いまはそれもできない。がんばる、ということができなくなってしまった。朝、起きて、朝ごはんの支度をして、コーヒーをいれると、それを食べながら、YouTubeを開いて、延々と見続ける、みたいなひとになってしまった。気力が湧かなくて楽なほうへと流されている。

 YouTube精神科医が話す動画を見ている。おもいかえしてみると、ぼくは昔からそういうメンタル系の話を聞くのが好きだった。それはやはり、ぼくが病んでいるからなのかもしれない。ぼくは美大出身で写真が専攻だったんだけれど、あるいは心理学のようなものを学んでもよかったのかもしれない、とちょっとおもった。

 

 YouTubeを開いて、精神科医の動画を見ているうちに午前中は終わる。午後はバイトに行って、何も考えないようにして働く。そして夜は詩をつくる、そういう日々だ。