ミツオ日記

自称詩人 熊野ミツオの日々

贅沢な悩み

 人生、うまくいかない。ぼくにはいろいろな悩みがある。よく考えてみると、そういう悩みはけっこう贅沢なものなのかもしれない。

 たとえば、ダイエットがうまくいかない、という悩みがある。これはよく言われるように、裏を返せば、食べものに困っていないということだ。世界には、食べるものがなくて苦しんでいるひとがいる。それに比べればダイエットがうまくいかない、という悩みは贅沢な悩みと言えるだろう。

 他には、母親に理解されない、という悩みがある。ぼくの母は少し鈍感なところがあって、話しているとイライラしてしまう。ぼくはそのことでよく悩んでいた。でも、そのことを周りに話すと、熊野さんはお母さんと仲がよくていいね、と言われる。客観的に見ると、仲がいいように見えるらしい。

 これはもしかすると、カップルの惚気と同じレベルの話なのかもしれない。恋人にこんな不満があるんです、みたいな話が、周りから見ると、逆に仲がいい自慢みたいに見えるというようなことだ。

 考えてみると、母はセンスが悪いとおもうことはあるけれど、そんなに酷い人間ではない。子どもの頃、育児放棄されたとか、意地の悪い皮肉を言ってくるとか、他に恋人をつくって家を出てしまったとか、そういう本格的なかんじではない。むしろ、いい母親と言えるくらいだ。

 ぼくは最近ずっと母の無理解に悩んでいたけれど、友人に話したり、カウンセラーに話したりする過程で、これは贅沢な悩みかもしれないとおもうようになった。世の中にはもっと酷い母親だっている。

 悩みというのはつい深刻に考えてしまうものだけれど、実際はそこまでではないのかもしれない。悩み自体よりも、それについて考えて暗い気持ちになってしまうほうが、問題なのかもしれない。

 

 あしたはバイトが休みなので、何をしようかで悩んでいる。

 ぼくは日焼け止めを塗ったことがないので、これから夏になって紫外線が強くなる前に日焼け止めを塗るようにしようか、というのが一つある。いまから日焼け止めを塗っておけば、老人になっても顔が染みだらけになったりしないのではないか。

 それか、友人に勧められてまだ見ていない映画を見に行こうか、という気持ちもある。『愛について語るときにイケダの語ること』というタイトルの映画で、障害者とセックスがテーマの映画らしい。とてもいい映画だと友人は言っていた。

 または、ユニクロに服を買いに行こうか、という考えもある。ぼくのバイト先はティーシャツが禁止なので、夏でも襟のついたシャツを着なくてはいけない。それを準備する必要がある。

 こうやって考えていくとあきらかに休日が足りていないとおもう。でも、最近のぼくは何も考えないようにしているので、大丈夫だ。たぶん、あしたは映画を見に行くだろう、という気がする。そういう気分なのだ。生活のことをあれこれやるのもいいけれど、ぼくにいま必要なのは感動だという気がする。