なんかいいことないかな
もうダメなんだなとおもうたびに
まだいけると言ってみる
まだ余裕のあった頃は
もうダメなんだと言っていた
でもいまは言わない
ほんとうにもうダメなんだ
ぼくの人生は
小学生のときからダメだった
だからぼくは
子どもの頃から暗い子どもだった
未来が暗いのがわかっていたのだ
いまはもう三十四歳になっていて
予想通りの暗い生活を送っている
未来は予想通りになった
すこしずつ普通から離れていった
みんなどこかに行ってしまった
先に進むほどに暗くなり
みんなのいる場所から離れていく
生きるのはつらいことだ
なんかいいことないかな
と言ってみる
いいことってなんだろう
なんかいいことないかなと言うと
気持ちがすこしあかるくなった
ぼくはそのちいさな火に
手をかざしているのだろう