永遠の午後は果物の匂いがした
こんな詩はたいした詩ではないんだよ
こんな人生は
たいした夢ではないんだよ
ぼくは誰にも愛されなかった
季節だけが速足で通り過ぎて行く
誰にも愛されなかった日々は
魂に刻まれて傷のようになった
ぼくの顔は皺に覆われていった
朝になってもなにもおもいだせない
自分がどこの誰だったかなんて些細な問題だ
幽霊のように心だけで生きていた
鏡のなかで
奇妙にあかるい顔をしていた
灰色の街が水色の空に沈んでいくのを見ていた
永遠の午後は果物の匂いがした
とても穏やかな気持ちだ
約束は破られて
言葉は石になる
退屈がうつくしい獣のように寝そべっている
生まれてから死ぬまで
いちども生きることなく
ぼくは死んでいく
あなたはきっとぼくを忘れるだろう
もしもどこかで再会しても
あなたはぼくがわからない