ミツオ日記

自称詩人 熊野ミツオの日々

永遠の午後は果物の匂いがした

こんな詩はたいした詩ではないんだよ

こんな人生は

たいした夢ではないんだよ

 

ぼくは誰にも愛されなかった

季節だけが速足で通り過ぎて行く

誰にも愛されなかった日々は

魂に刻まれて傷のようになった

 

ぼくの顔は皺に覆われていった

朝になってもなにもおもいだせない

自分がどこの誰だったかなんて些細な問題だ

幽霊のように心だけで生きていた

鏡のなかで

奇妙にあかるい顔をしていた

 

灰色の街が水色の空に沈んでいくのを見ていた

永遠の午後は果物の匂いがした

とても穏やかな気持ちだ

約束は破られて

言葉は石になる

退屈がうつくしい獣のように寝そべっている

 

生まれてから死ぬまで

いちども生きることなく

ぼくは死んでいく

あなたはきっとぼくを忘れるだろう

 

もしもどこかで再会しても

あなたはぼくがわからない